大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)123 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意は、末尾添付の別紙記載のとおりである。

論旨は原判決の事実誤認を主張するものであつて、刑訴四〇五条の適法の上告理

由にあたらない。また記録を調べても同四一一条三号を適用すべきものとも認めら

れない。

弁護人大塚喜一郎、同設楽敏男の上告趣意は、末尾添付の別紙記載のとおりであ

る。しかし控訴裁判所は検察官乃至被告人の控訴趣意に対し何等、新らたに事実の

取調乃至証拠調をなすことなく、訴訟記録並びに第一審裁判所において取り調べた

証挺のみによつて、いわゆる破棄自判の判決をすることができるのであり(昭和二

五年(あ)六二号、同年四月二〇日第一小法廷判決、判例集四巻四号六四八頁。昭

和二五年(あ)二九八一号、同二六年一月一九日第二小法廷判決、判例集五巻一号

四二頁参照)従つて本件におけるがごとく第一審裁判所が犯罪の証明がないという

理由で無罪とした事案に対し、控訴裁判所が刑訴四〇〇条但書に従い事実の取調を

しないで有罪の認定をすることも違法でないのである(昭和二五年(あ)三四五〇

号、同二六年二月二二日第一小法廷決定、判例集五巻三号四二九頁参照)。所論は

独自の見解のもとに右の控訴審の適法なる手続を憲法三七条二項前段に違反するも

のとして非難を加えるものであるけれども、前叙のごとく原判決には何等違法はな

いのであるから、論旨は前提を欠きこれを採用することができない。のみならず、

所論の憲法三七条二項前段の趣意とするところは裁判所の職権により又は訴訟当事

者の請求により喚問した証人につき反対訊問の機会を充分に与えなければならない

ということにあるのであるから(昭和二三年(れ)八三三号、同二四年五月一八日

大法廷判決、判例集三巻六号七八九頁参照)、この点よりするも、所論のごとき主

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張について憲法三七条二項前段違反の問題が生じないこと、明白である。よつて論

旨は理由がない。

前記弁護人両名の上申書と題する書面について。

書面記載の論旨は帰するところ証拠の証明力を争うものであつて、刑訴四〇五条

の適法の上告理由にあたらないし、なお同四一一条を適用すべき事由もない。

よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二七年七月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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